2024年10月21日から11月2日まで、コロンビアのカリで開催された国連の第16回生物多様性条約締約国会議(CBD-COP16)に政府代表団の一員としてOECC職員3名が参加しました。
OECCは環境に関する国際情勢の調査や国際会議の記録作成の豊富な経験を活かして、DSIを含む遺伝資源利用に係る近年の研究や事例の調査、関連する国際的な議論への参加・記録作成の業務を行っております。先日開催された第CBD-COPにおいても、遺伝資源及びDSIに関わる国際交渉の支援のため参加してきました。
現地レポート:CBD-COP16への参加
2024年10月21日から11月2日まで、コロンビアのカリで開催された国連の第16回生物多様性条約締約国会議(CBD-COP16)に、政府代表団の一員として参加しました。
OECCでは、環境に関する国際情勢の調査や国際会議の記録作成の豊富な経験を活かし、遺伝資源およびデジタル遺伝資源情報(DSI)に関する国際交渉の支援を行っています。今回のCBD-COP16でも、遺伝資源およびDSIを含む議題の調査・記録業務に従事しました。
CBD-COPは、生物多様性の保全や持続可能な利用、遺伝資源の利用に伴う利益配分について、196カ国が議論を行う国際会議です。会議では、絶滅危惧種の保護や生態系の修復、気候変動を考慮した保全計画、発展途上国への資金・技術支援といった重要なテーマが取り上げられました。
今回のCBD-COP16では、コロンビアの主導のもと、以下の成果が得られました:
・先住民と地域コミュニティ(IPLC)参画促進のための補助機関設立
・DSI利用に関する利益配分の新たな枠組みの設立
特に、DSI使用者によるグローバル基金への拠出が合意され、その資金を生物多様性の保全や持続可能な利用に活用する方向性が示されました。ただし、拠出率や対象範囲については、次回会議までの課題として議論が継続される予定です。
一方で、会議の進行は難航しました。各国の立場の違いから意見の対立があり、交渉は連日深夜まで続きました。最終日には、プレナリーセッションが徹夜で行われ、翌朝8時まで続きましたが、多くの議題が合意に至らず次回会議への持ち越しとなりました。それでも、合意形成を目指す各国の熱意や努力を現場で目の当たりにできたことは非常に印象的でした。
活動を通じた気づきと所感
今回、初めてCBD-COPに参加する機会をいただき、国際交渉の現場での難しさとやりがいを実感しました。議論を追うのに苦労した初日から、徐々に内容を理解し、記録に反映できるようになるまでの過程で、自分なりの成長を感じることができました。
特に印象的だったのは、各国の交渉官たちが異なる意見を調整しながら妥協案を導き出し、合意形成に向けて尽力する姿でした。彼らの高い交渉力、実務能力、そして長時間の交渉に耐えるタフネスには大いに刺激を受けました。この経験を通じて、国際的な場で必要とされるスキルの重要性を改めて実感するとともに、自分自身の課題も見つけることができました。
今後は、生物多様性に関する知識をさらに深めるとともに、英語で議論をリードするスキルの向上を目指していきたいと考えています。このような貴重な機会を与えていただいたことに心から感謝し、この経験を糧に引き続き努力を重ねていきたいと思います。