OECCの役割
冷媒に関する途上国支援については、伝統的にモントリオール議定書とそのキガリ改正の文脈で主に実施されてきましたが、近年では気候変動枠組条約とそのパリ協定に関する知見が重要となってきています。OECCは、知見を有する強みを活かして途上国の行政担当者等に対して能力強化をおこなっています。 また冷媒転換や冷媒破壊プロジェクトの形成にも、JCM等の経験を生かして貢献しています。
日本の高度な技術と知見で途上国の冷媒対策を支援します
エアコンや冷凍機は、強力な温室効果ガスであるフロン類、近年はとりわけハイドロフルオロカーボン(HFC)を冷媒として利用しており、その漏出や、電力の消費を通じて、直接・間接に大量の温室効果ガス排出に関わる機器です。途上国において低GWP(温室効果が従前より低い)冷媒を使用した高効率な機器への転換を促進し、機器の使用中・使用後の冷媒の放出を抑えるための政策作りを支援しています。
冷媒に関する途上国支援については、伝統的にモントリオール議定書とそのキガリ改正の文脈で主に実施されてきましたが、近年では気候変動枠組条約とそのパリ協定に関する知見が重要となってきています。OECCは、知見を有する強みを活かして途上国の行政担当者等に対して能力強化をおこなっています。 また冷媒転換や冷媒破壊プロジェクトの形成にも、JCM等の経験を生かして貢献しています。
途上国で冷媒対策が遅れている理由の一つは、計画や目標の設定、対策実施時の進捗管理に関する情報収集が不足していることです。各国の冷媒排出量や、市中の冷媒機器に充填されている量等を把握する手法の調査や試算、さらにその結果を途上国が国際的に報告するための技術指導をおこなっています。
キガリ改正やパリ協定を受け、途上国ではHFC冷媒の輸入から廃棄までのライフサイクルを管理する政策の策定が急務です。OECCでは政策決定者向けの研修や、草案段階の政策への技術指導、国際交渉の場でのイベント開催支援をおこなっています。
冷凍空調機器の適切な設置や、機器廃棄時の冷媒回収を実際におこなう各国の技術者に対して、日本の技術者等を講師として、現地で研修を実施しています。これによって、高圧ガスである冷媒が安全に取り扱われ、冷媒の大気放出が減らされると同時に、機器のエネルギー効率の向上を図ります。
高効率の機器や低GWP冷媒はしばしば高価であるため、省エネによって長期的には投資を回収できる可能性がある一方、導入時の初期投資が、特に途上国ではネックとなります。また使用済み冷媒処理についても、収益性の事業とするのは容易ではありません。適切な資金源とのマッチングや、冷媒転換・回収等の対策が必要・有利となるような政策の導入のような支援を通じて、案件形成のお手伝いをいたします。
国際交渉の場において、冷媒排出対策の機運を醸成することは、対策への資金を導きいれるために重要です。モントリオール議定書やパリ協定の機会をとらえてイベントを実施し、技術的な成果物を公表しています。
ベトナムは、東南アジアの中でも冷媒管理の制度設計からプロジェクト実施まで意欲的に取り組んでいる国の一つです。OECCでは、冷媒管理に関わる大枠から技術基準までの政策策定支援や、各種研修の実施をおこなっています。ここで得られた知見は、他の国にも有益なものです。