グリーン水素

グリーン水素利用の技術課題の克服、大気汚染低減と脱炭素化へ貢献します

グリーン水素は、再生可能エネルギーを用いて水を電解してつくる水素です。電源は、これから逐次再生可能エネルギーに置き換わっていくものの、熱源や交通分野での脱炭素化には、グリーン水素等の燃料が必要です。グリーン水素は、製造コスト等のいくつかの課題があるものの、燃焼した際に温室効果ガス(GHG)も大気汚染物質(硫黄酸化物、粒子状物質、一酸化炭素等)を出しません。OECCは、グリーン水素によるモンゴルの環境改善の実現に取り組んでいます。

OECCの役割

 OECCは、13年にわたり モンゴルの環境課題の克服に向けた協力を行っています。その中で、グリーン水素は、モンゴルの大気汚染問題を解決し、他国への石油・ガス依存から脱却し、エネルギー安全保障課題を解決する有効な方法だと考えてきました。モンゴルの高い再生可能エネルギーポテンシャルを活用して、水の電気分解によりグリーン水素を製造し、燃料として活用できれば、対象境界内でのGHG排出及び大気汚染物質の排出を完全にゼロとすることができます。そこで、OECCは、モンゴルの最優先環境課題である大気汚染を解決するために現地政府、現地企業、日本企業と協働し、日本国環境省のご支援の下でグリーン水素の商用利用の実証を行っています。

業務内容

現地の環境課題および政策の把握

首都ウランバートル市では、2010年頃から石炭の使用による大気汚染が急激に悪化しています。冬季の粒子状物質は、世界保健機構(WHO)基準値の数倍に達する濃度が毎日計測されるほど、世界でも有数の深刻な状況です。OECCは現地に入り、草の根的に現地での大気汚染物質の計測や現地政府との情報交換を行い、現地の環境状況の事実関係を把握・分析しています。これらの分析や現地での肌感覚(経験)に基づき、モンゴルの再生可能エネルギーポテンシャルの高さを活用したグリーン水素事業を通じて、現地の環境課題(大気汚染)を解決することになりました。 グリーン水素の事業を実施にあたり、国内の法制度や関連機器の税関や敷設条件等の関連政策・法制度を分析しています。

現地パートナーとの知見の共有

日本は、水素分野において、世界の中でもリードしている技術を多数有しています。OECCは、日本および世界のグリーン水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」の各カテゴリーにおける技術の製造会社および技術内容を分析しています。その中でモンゴルの課題に適合する先進的な技術を製造する日本企業と協働し、技術実証の準備を進めています。
その過程において、モンゴル政府や現地企業関係者を招聘し、日本技術の特性紹介や実際の国内実証の状況を共有しています。また、技術について共に学び、現地側のニーズと日本側の適切な貢献の在り方について検討しています。

技術実証の実施

OECCは、日本国環境省支援の下、現地政府および企業と共に、小規模のグリーン水素製造およびそれによる現地企業への熱供給技術の実証を実施し、技術的な課題の抽出および商用展開に向けた解決策を見出します。その後、グリーン水素技術をウランバートル市へ水平展開することで、GHGの削減のみならず、モンゴルの喫緊の環境課題である大気汚染問題への解決事業を実施するための足掛かりをつくることを目指しています。
実証を実施する際には、日本企業と組み、その日本企業の実績レピュテーション向上にも貢献することも、実証事業の目的のひとつです。

トピック

CTCNスキームにおけるプレFSの実施

OECCは、環境省のご支援の下、モンゴル環境観光省と連携し、国連気候変動枠組条約および国連環境開発の下に設立されているClimate Technology Centre and Network (CTCN)の枠組みでモンゴルでのグリーン水素事業の実現可能性調査を行いました。その結果、上述の実証までたどり着くことが出来ました。