コベネフィット

Emissions from a power plant rise over Ulaanbaatar, Mongolia, in 2017. | REUTERS

日本の先進技術を用いた大気汚染と温室効果ガスを同時に低減する環境対策を推進しています

モンゴル国ウランバートル市では、冬季には、気温が-30℃から-40℃に達するため、暖を取るために石炭を燃やすことから、世界の中で最も深刻な大気汚染が課題となっています。OECCは、大気汚染と温室効果ガスを同時削減する取り組みを進めています。

OECCの役割

OECCは、日本国環境省の環境協力枠組みの下、モンゴル国環境観光省、エネルギー省、ウランバートル市等と連携しながら、ウランバートル市等の大気汚染問題に取り組んでいます。具体的には、現地政府・企業及び日本企業と協力をして、大気汚染の原因となっている石炭焚の地域熱供給システムを、日本製の高効率ガス焚システムに転換しています。その結果、現地の小学校や幼稚園に日本製の高効率ガス焚ボイラを実際に敷設し、少しずつ大気汚染源を減らしています。
その際OECCは、政策や政府動向の調査を含む現地課題の把握・分析、日本メーカーとのモンゴル向けボイラ製造調整、輸出に係る通関、据付調整などを担っています。今後は、JCMも活用し、広域に大気汚染物質が出づらい施設を水平展開していきます。

業務内容

相手国の政策調査

大気汚染やGHGを削減するためには、現地政府の政策と合致した対策を進めることが肝要です。そのため、OECCは、エネルギー省やウランバートル市等が発出する省令や各種政策を分析し、その中で日本国やOECCが貢献できる環境協力を検討し、相手国政府・企業と協働しています。

日本のコベネフィット技術の導入と実証

大気汚染を低減するために幼稚園や小学校に敷設されていた石炭焚熱供給用ボイラを日本製のガス焚ボイラシステムに変え、その性能および大気汚染効果の実証試験を行っています。今後は、その成果を基にして、JCMの活用しながらウランバートル市全体の熱供給システムの石炭からガスへの燃料転換を後押ししていきます。
大気汚染の削減効果(石炭焚ボイラ比)
CO2:37%▼
NOx(窒素酸化物): 63%▼
SOx(硫黄酸化物): 100%▼
CO(一酸化炭素): 99%▼
ばいじん(燃焼灰): 100%▼

訪日研修の実施

相手国政府の大気汚染対策や、インフラ敷設に係る責任者および現地の地域熱供給システムに関わる企業を日本に招聘し研修を実施しました。研修では、日本のガス焚ボイラに関する最新技術や、大気汚染対策の取組の紹介をしました。
日本もかつて、石炭からガスへ熱源の燃料転換を図ることで大気汚染を克服してきた歴史があり、それを実現した技術や政策について触れていただくことで、モンゴルの今後の対策に役立ててもらえるような視察を行っています。

トピック

モンゴルの第152学校に日本製のガス焚きボイラを導入した際に、モンゴル国営放送が取材に来て、OECCの西村技術主任がインタビューを受けました。石炭焚からガス焚にボイラを代替したことにより、学校周辺の大気汚染が低減され、かつ、安定した熱供給が真冬の-30℃の環境下でも実現できたことにより、生徒の学習環境と健康が守られたとして、当該学校の校長からも喜びの声をいただきました。

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